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HOME > ikku 2006

2006年

月をクリックすると開きます。

12月

2006.12.31 おおさぶぅとっとと逃げる陽の背中
2006.12.30 ハンドクリーム塗りて奮闘大掃除
2006.12.29 炭の火の消えそうで消えぬ恋ぼそぼそ
2006.12.28 店頭のレモン転がる風惑ひ
2006.12.27 暴風雨メッキも剥げるネオン街
2006.12.26 冬に棲む剣を抱いていざ眠らん
2006.12.25 敷き詰めし銀杏の葉を踏みMerryChristmas!
2006.12.24 千両の赤い実成りて主なし
2006.12.23 長き夜の布団に入りて朝を待つ
2006.12.22 色のない光こぼれる師走かな
2006.12.21 目覚むれば咳のせわしき午前五時
2006.12.20 くたくたの白菜浮かぶキムチ鍋
2006.12.19 なまめかしい大根選ぶ手に取りて
2006.12.18 君思ひ脈打つ音の膨らめり
2006.12.17 我の影共に乗り込む冬のバス
2006.12.16 考える人のふりして居眠り中
2006.12.15 ゴメンだけで救われる夜救われぬ夜
2006.12.14 すきま風ひとり震える絵になりぬ
2006.12.13 マグカップ一個に溢れる思いあり
2006.12.12 日短か一刻惜しむネズミたち
2006.12.11 風ゆるし海に漂ふ白い舟
2006.12.10 手を離れポストに落ちし恋の文
2006.12.09 メールする指のためらう二十四時
2006.12.08 抱えるにはあまりに小さき膝小僧
2006.12.07 南国のパンフが躍る冬の街
2006.12.06 ふと戻るです・ます調におびえてる
2006.12.05 話し声ああケータイの一人芝居
2006.12.04 日々変わる君との距離を測る地図
2006.12.03 抜ける空心吸われし女かな
2006.12.02 思い出のタネにも水をあげましょう
2006.12.01 肩すくめ急ぎ足になる十二月

11月

2006.11.30 ほどほどに風受け流す枯れすすき
2006.11.29 わたぼこり君の不在を積み重ねる
2006.11.28 なぐり雨生き方惑ふ四十過ぎ
2006.11.27 たっぷりの野菜も旨しつみれ汁
2006.11.26 ゆくもりに理屈は要らぬ冬の空
2006.11.25 一息に暗幕下ろす冬の暮れ
2006.11.24 教えてと訊けど答えぬ濁り酒
2006.11.23 暮れ急ぎ我も急げり人並みに
2006.11.22 バラ園の消えて漂ふ土の香り
2006.11.21 長い夜を退屈させぬ雨のタップ
2006.11.20 頭からしっぽに抜ける大あくび
2006.11.19 すっきりとするも難し空低し
2006.11.18 ピーロピロ鳴きて吐き出すファックス紙
2006.11.17 隠し持つ武器は頭の中にあり
2006.11.16 雷鳴の低く唸りて地を揺らす
2006.11.15 真夜中のポストに落とす地獄かな
2006.11.14 ぬくもりにすがりつきたし夜深し
2006.11.13 カラカラカラ転がる葉っぱ乾く喉
2006.11.12 冷たい夜かすかに聞こゆ虫の声
2006.11.11 あわただしい朝にぽっかり忘れ月
2006.11.10 入れ替える通勤電車で公と私を
2006.11.09 君に会ふと思へば胸の硬くなり
2006.11.08 寒暖にストレスたまる空も我も
2006.11.07 レジ前に焼き芋並ぶ湯気立てて
2006.11.06 冬来ると言われて日向選びおり
2006.11.05 真ん中にベンチを描く老夫婦
2006.11.04 言いなりになりて抗うカラダから
2006.11.03 ボキボキと心の中の芯折れる
2006.11.02 甘い雨恋しと空を見つめてる
2006.11.01 月の夜を君と分け合ふ神無月

10月

2006.10.31 この秋に選ばれて生きる花のあり
2006.10.30 目覚ましの夢まで響くシンデレラ
2006.10.29 指を切る紙も凶器になりし朝
2006.10.28 ゆるゆるの空に放てし命かな
2006.10.27 目を閉じて君の重みを受け止める
2006.10.26 水の音カラダ流るるごぉと行く
2006.10.25 立ち止まることなく去りぬ赤とんぼ
2006.10.24 新米の輝きて立つ湯気の中
2006.10.23 飢えていた大地は雨を受け止める
2006.10.22 十月も半ばを過ぎて袖震う
2006.10.21 ふと気付くひとりぼっちのイヤリング
2006.10.20 病む人の言葉乱れし夜長かな
2006.10.19 夕闇の生気なくした陽をかじる
2006.10.18 首長く重くへし折る穂先かな
2006.10.17 燃えながら涙を流し続ける蝋
2006.10.16 おとぼけか単なる呆けか頭寒し
2006.10.15 書きかけの恋文散らばる並木道
2006.10.14 気後れが気後れ呼びし長夜かな
2006.10.13 見え隠れ恥ずかしがりやの月の尻
2006.10.12 青悲しみは冷めた紅茶のそばにあり
2006.10.11 青い柿火照るのを待つ夕べかな
2006.10.10 一斉に右へ左へすすきの穂
2006.10.09 増幅するファンの悲鳴に笑みのシュー
2006.10.08 分刻み予選はタイトな緊張感
2006.10.07 風狂い開けて即死のビニール傘
2006.10.06 空白の時を活字で埋め尽くす
2006.10.05 虫の声ぴたりと止みて雨の闇
2006.10.04 ぴかぴかの靴に向こうの女思う
2006.10.03 食らいつく蚊の執念や秋の風
2006.10.02 会えた日にマルをつけてるカレンダー
2006.10.01 吐き捨てるガムその程度の人なのね

9月

2006.09.30 会えなくてゴメンとしゃべる父さん指
2006.09.29 切られても恋のしっぽは元どおり
2006.09.28 香水をひと吹き暮れる恋ひとつ
2006.09.27 ゴーッと鳴る雨にも風にも負けそうだ
2006.09.26 いたずらに怒る気力も失せて秋
2006.09.25 ゆっくりと力の満ちて栗はじく
2006.09.24 闇に戻りぷぅんと匂う火薬かな
2006.09.23 右曲がり左曲がりと品定め
2006.09.22 どれにしよう迷ったフリして稼ぐ時間
2006.09.21 皆いつか命の階段踏み外す
2006.09.20 君の手のぬくもり恋し秋深し
2006.09.19 日本列島横抱きにする台風か
2006.09.18 てっぺんを包める雲の白光り
2006.09.17 山谷の草踏みしめる親子かな
2006.09.16 人寄ればぱくぱく寄りし鯉の口
2006.09.15 ゆったりと過ごす時間の解毒剤
2006.09.14 新しき門出を祝ふ葉月かな
2006.09.13 宵闇や細かい雨が夜を冷やす
2006.09.12 黄昏に詩人は踊る我沈む
2006.09.11 居座りて皆に嫌われる湿気かな
2006.09.10 問診表昨日の自分が浮き上がる
2006.09.09 夏過ぎぬしんどい話は手短に
2006.09.08 秋の空絡みつくもの振り払う
2006.09.07 引き締まる風にしくしく古い傷
2006.09.06 徳利を次々倒す夜長かな
2006.09.05 銭勘定してたら子供は生まれない
2006.09.04 うちわ風うつらうつらと眠り入る
2006.09.03 焼きたてのパンと新書とかさぶたと
2006.09.02 車内通話一部始終が耳に入る
2006.09.01 虫の声テノールあたりをさまよえリ

8月

2006.08.31 ケータイを手に持つ人みな猫背なり
2006.08.30 偽りなき「好き」を何度も噛み砕く
2006.08.29 不揃いのグラス並べし夜更けかな
2006.08.28 雨の降る確率を見て傘選び
2006.08.27 街歩き心も財布も軽くなり
2006.08.26 水底をそっと泳いで通い婚
2006.08.25 釣堀の我のみ釣れぬ浮き睨む
2006.08.24 不機嫌な空割り割りて光漏る
2006.08.23 怒っても泣いても笑顔のメール打つ
2006.08.22 寝心地の良いのが悪い朝寝坊
2006.08.21 こみあげてぐっとがまんの曇り空
2006.08.20 風薄く眠れぬ街の灯り濃し
2006.08.19 味噌汁の味噌の沈みて映る我
2006.08.18 ひと雨で人の丈越す雑草か
2006.08.17 魂のぼぉうと光る蛍かな
2006.08.16 渡れない川の向こうに見ゆる夢
2006.08.15 ちりりんと鳴ればうれしや恋しぐれ
2006.08.14 バコンバコン心を打つや遠花火
2006.08.13 バリメリリあの手この手で空破る
2006.08.12 涼風に心ほどけし夏の恋
2006.08.11 蝉しぐれお日さまうとうと眠りゆく
2006.08.10 バトンタッチする相手なくもう一周
2006.08.09 酔い人よ我を通して誰を見ん
2006.08.08 薄雲をするりと抜けし檸檬月
2006.08.07 生き物の匂いあふれし熱帯夜
2006.08.06 熱球か半身の月は煌々と
2006.08.05 汗流る団扇配りの焼けた腕
2006.08.04 暑き日の空は火照りて暮れ難し
2006.08.03 石投げて心わさわさ揺れる水
2006.08.02 すいすいと工事現場の吹流し
2006.08.01 タンポポの綿飛びきれず枯れるかな

7月

2006.07.31 さあ食えと寝そべる豚のまる焼きか
2006.07.30 花炎樹の落ちて地面を騒ぎ立て
2006.07.29 花炎樹の雨に打たれて燃え立ちぬ
2006.07.28 きっちりと色塗り分ける海の青
2006.07.27 べたべたと雲塗りつける空の青
2006.07.26 触れただけで泣き出しそうな空そっと
2006.07.25 悲しみのゆるゆる流るる長梅雨か
2006.07.24 鼻立てし赤白ピンクのハイビスカス
2006.07.23 グロットの整備終わりて段ゆるし
2006.07.22 赤ワインボトルの肌を伝ふ赤
2006.07.21 空悩む晴れ雨曇りどれにしよう
2006.07.20 鯖一切れ煮ても焼いても母の味
2006.07.19 寄り添えど一オクターブ上の君
2006.07.18 愛すもの時空の襞に折り込まん
2006.07.17 時に泣きニコリともせぬ梅雨末期
2006.07.16 風下の我にささやく綿毛かな
2006.07.15 藍色の浴衣踊りし夏祭り
2006.07.14 冷水に頭を浸たす熱帯夜
2006.07.13 君の香に折れて腕に潜り込む
2006.07.12 迷宮を彷徨う君の乾いた声
2006.07.11 くりっくり白雲裂いて月ぽっかり
2006.07.10 待合の鏡に映る恋心
2006.07.09 風鈴の小さき風を拾ひけり
2006.07.08 ぼとぼとと雨のにおいはやさしくて
2006.07.07 心揺れ芯を流るる水の音
2006.07.06 我が内に埋めし君の指踊る
2006.07.05 酔える日も酔えない日にも君の影
2006.07.04 むず痒き心の襞を濡らす雨
2006.07.03 からっぽの心に飾る願いごと
2006.07.02 靴紐を結びなおして君はゆく
2006.07.01 いじわるね涼しい風のかくれんぼ

6月

2006.06.30 「今月で閉店です」がまた一つ
2006.06.29 ピシパシと空を割り込む稲光
2006.06.28 本物の涙を見せるピエロかな
2006.06.27 長すぎた時を語れり写真の束
2006.06.26 そっぽ向く人の心と涼風と
2006.06.25 百円分車の揺れる炎天下
2006.06.24 子を産まぬ乳房つんつん闊歩する
2006.06.23 寄りかかり奏でるメロディ濁りあり
2006.06.22 我を待つ天上人の声聞こゆ
2006.06.21 くれないの流るる先に君ひとり
2006.06.20 幸せは皆と分け合えてこそ花
2006.06.19 空低しだれもかれもが鉛色
2006.06.18 ぐねぐねと自転車を漕ぐ老いの坂
2006.06.17 柔らかく君を包めり膝枕
2006.06.16 じゃじゃ降りの雨さらに雨さらに雨
2006.06.15 ぐんと踏む君の自転車は剛速球
2006.06.14 喉元をぐいと突かれし鮎一尾
2006.06.13 生垣にほろと夕顔咲きにけり
2006.06.12 紫陽花に心映して雨を受く
2006.06.11 もう一度チャンス求めし乱れ雲
2006.06.10 エレベーター互いに妙な緊張感
2006.06.09 朝顔の一足先に目覚めおり
2006.06.08 オークション我の時間はなんぼかな
2006.06.07 あさがおのような色して暮れる街
2006.06.06 カタカナの言葉あふるる飲食店
2006.06.05 男と女確かなことは何もない
2006.06.04 鈍行もこまちも走る単線を
2006.06.03 あいまいな返事はいらぬ梅雨入り前
2006.06.02 ひとり占めする幸せって寂しいね
2006.06.01 その馬ではぬけがけできぬメリーゴーランド

5月

2006.05.31 嘘に嘘の上塗りすればボロが出る
2006.05.30 折畳み傘しのばせる晴れの日も
2006.05.29 飛び石をウサギのように君は行く
2006.05.28 水音の我にリズムをもたらせり
2006.05.27 ため池の鏡になりて地底国
2006.05.26 吹く風に救い求めし五月かな
2006.05.25 水たまりバリャリとやって気付くもの
2006.05.24 赤い実を食ひて種吐くカラスかな
2006.05.23 水深し今年の夏はいずこから
2006.05.22 夏近し風の扉はふと開く
2006.05.21 風遊ぶ鉛の雲を切り裂いて
2006.05.20 生きるのに資格はいらぬ五月晴れ
2006.05.19 いのち・からだ・こころ束ねて逢いに行く
2006.05.18 楽しみを等しく分ける宝くじ
2006.05.17 見つめられますます花咲くバラの園
2006.05.16 人生の地図にはぐれてひとり泣き
2006.05.15 ふうわりと薄青香る新茶かな
2006.05.14 唇を重ねるたびに消える嘘
2006.05.13 花落ちてピンピンつつじのお髭かな
2006.05.12 青匂ふ生きる力をみなぎらせ
2006.05.11 目を閉じて竜に巻かれる夢を見る
2006.05.10 赤い靴桃色の靴君六十
2006.05.09 渡しえぬ手紙の中に恋香る
2006.05.08 やさしきは土にしみこむ春の雨
2006.05.07 乾電池換えてもいちど最初から
2006.05.06 深海魚浮きて形を崩すなり
2006.05.05 世渡りのバランス猫を見習ひて
2006.05.04 ほら空が近くなったよ肩車
2006.05.03 胸開き五月の風を招き入れ
2006.05.02 人去りてほっと一息春の海
2006.05.01 会いたいと切り出すまでの長い夜

4月

2006.04.30 別れの夜とことん泣きて飯食らふ
2006.04.29 草ぼうぼう根こそぎ抜きて胸に穴
2006.04.28 葉桜の光集めし毛虫かな
2006.04.27 剥製の腐りも眠りも許されず
2006.04.26 豪快に散るを眺むる将軍塚
2006.04.25 別れた日拾った猫に君の瞳
2006.04.24 鬼の棲む館に住まう酒盗人
2006.04.23 ほろほろと涙を流す山桜
2006.04.22 千曲川歌ふ人いて川流る
2006.04.21 指切りの指の骨までつなげてる
2006.04.20 逢いに行くこと許されし春の雨
2006.04.19 八重桜揺れてパクパク桜餅
2006.04.18 大人とは焦らし焦らされ面倒くさい
2006.04.17 十センチになりてキスまで行かぬ春
2006.04.16 朝陽差す一転空から涙落つ
2006.04.15 花落とし背筋伸ばして向かう空
2006.04.14 擦れども湿ったマッチに火はつかず
2006.04.13 命ある限り電話の鳴り続く
2006.04.12 硝子窓シャシャ切りつける宵の雨
2006.04.11 歌にしてようやくココロ楽になる
2006.04.10 引力に逆らう乳房君ゆえに
2006.04.09 花降りて君の靴音隠しけり
2006.04.08 花に問ふ我の愛しき人いずこ
2006.04.07 ぎこちないスーツ駆け込むラッシュアワー
2006.04.06 姦しき制服塞ぐ狭き道
2006.04.05 ごま粒の律儀に並ぶコンビニ弁
2006.04.04 雪みぞれ雨降り続く北の春
2006.04.03 春雷のはかなく消えし夕べかな
2006.04.02 枝重しゆらりゆらりと花を吹く
2006.04.01 マネキンの肌つぎつぎと夏模様

3月

2006.03.31 時計屋さん時間も売ってくださいな
2006.03.30 読書室ひびくお腹のぐぅとぐぅ
2006.03.29 金属の冷たさを知る腕時計
2006.03.28 思い出の燃えカス風にさらわれる
2006.03.27 ときどきはクリッククリックボケ防止
2006.03.26 春が来てためらい傷がまた一つ
2006.03.25 とう立ちて右に左に曲がる君
2006.03.24 ねぇと言い覗く心のおもてうら
2006.03.23 歳食えば三度は同じことを言い
2006.03.22 声かけし桜のつぼみぎゅと締まる
2006.03.21 ノイズあれどおかめ桜はにっこりと
2006.03.20 風が立つあたしが消えてしまいそう
2006.03.19 いにしえの乙女ら集ふ春ですね
2006.03.18 月吊るし空のほんのり春化粧
2006.03.17 風あふれ酔人こぼるる春嵐
2006.03.16 豊かさゆえ一人で啜るカップ麺
2006.03.15 君の出す折り目正しきハンカチーフ
2006.03.14 寒戻り道行く人のいかり肩
2006.03.13 春なれば春の人となる日本人
2006.03.12 この世には未練あります女です
2006.03.11 満ち欠けと同期を取りて雌の性
2006.03.10 体内の水をこぼさぬように立つ
2006.03.09 電気オフ裏切り者が見えてくる
2006.03.08 真夜中のケータイメールは鉄砲玉
2006.03.07 こわばった顔もほどける春一番
2006.03.06 トースター飛び出るパンのように起き
2006.03.05 昨夜君の背に立てた爪ちょきんちょきん
2006.03.04 痛みという信号今夜も点滅す
2006.03.03 お勝手は苦手とキーを打ち込めリ
2006.03.02 悲しみを搾りつくせば消えぬ皺
2006.03.01 マスクして判別つかぬ弥生月

2月

2006.02.28 ストローの噛み跡残る午後のカフェ
2006.02.27 湯沸しのポットボコボコ生きている
2006.02.26 風船の命ぱちんと空に消ゆ
2006.02.25 息継ぎを忘れて恋のあっぷっぷ
2006.02.24 やわらかな光を吸ひて芽のぷっくり
2006.02.23 君の背に会いに行きたい春の風
2006.02.22 消しゴムのみるみるすり減る清き日々
2006.02.21 雨ざぁざぁ濡れて待ってる赤い傘
2006.02.20 いい顔を鏡に残しいざ出勤
2006.02.19 よたよたと老い連れ回すワンコたち
2006.02.18 泣き虫も板についたね春の雨
2006.02.17 ちょうちんにされてぷんぷん河豚ぷんぷん
2006.02.16 皮よりも餡子の傷む日本饅頭
2006.02.15 生ぬるき風に命の息吹あり
2006.02.14 ケータイで距離を縮める待ち合わせ
2006.02.13 群衆の中でもひとりひとりなり
2006.02.12 青白き月に曇りなし翳りあり
2006.02.11 白雲の帯に半月羽交い絞め
2006.02.10 白梅のぽつと咲いてはちぢこまり
2006.02.09 我が耳を襲ひし闇の噂かな
2006.02.08 老ひてなお風にたなびくススキの穂
2006.02.07 我も我も競ひて崩す霜柱
2006.02.06 くらりぐらり今日も日本は揺れている
2006.02.05 ブラインド少しずらして日向ぼこ
2006.02.04 豆持ちて内や外やの鬼払い
2006.02.03 枝先にぎゅっとしがみつく葉の執念
2006.02.02 泣き顔は誰にも見せぬ映画の日
2006.02.01 冬の雨はしゃいでいるのは風ばかり

1月

2006.01.31 ぶり返す寒さにぐるりん赤マフラー
2006.01.30 真白なる富士見て安らぐ旅路かな
2006.01.29 満天の星に吸わるる湯の煙
2006.01.28 ぴりぱりり氷を踏みし通学路
2006.01.27 おいと呼ばれ何か違うと知らんぷり
2006.01.26 埋もれし東京タワーと昔日と
2006.01.25 星々のまばたきぱちぱちぱちくりこ
2006.01.24 雪を踏む心の欠片砕くように
2006.01.23 心までぴたりと重ねひと眠り
2006.01.22 音吸ひて夜をふんわり雪灯り
2006.01.21 サイレンが我ら切り裂く雪しぐれ
2006.01.20 陽だまりを猫から奪う人となり
2006.01.19 抱かれて初めて気付く広い肩
2006.01.18 殺めたいと心に秘する冬の暮れ
2006.01.17 解体せし建物掬うショベルカー
2006.01.16 しがみつく葉っぱ蹴落とす風の意志
2006.01.15 見ぬフリをすれば朽ちるか廃車の山
2006.01.14 大股で進む一日追う秒針
2006.01.13 満たされし人のぽつりと「死のうかな」
2006.01.12 降りて止み止みてまた降り春遠し
2006.01.11 アラームが断ち切る眠り寒い朝
2006.01.10 小雨降る貴方は今日もきっと来ない
2006.01.09 薄氷ぴりりぱりりと割りて行く
2006.01.08 着信の履歴のみあり夜の底
2006.01.07 ぽっとんと落ちて果肉の散らばれり
2006.01.06 ブランコのゆれてゆられてゆり返し
2006.01.05 饒舌にささやく夜の君若し
2006.01.04 ポートレイト昔の自分に嫉妬する
2006.01.03 さよならの前に足踏みワン・ツー・スリー
2006.01.02 わんわんと吠えて初日を拝むかな
2006.01.01 切り札を袖に隠してお正月